この記事では、米国株のETF「VOO」「VTI」、そして「VT」について、その違いと、それぞれどのような投資家に向いているのかを解説します。
米国株や全世界株への投資を考えた場合、まず目に入ってくるのがこの3つのETFではないでしょうか。
しかし、名前(ティッカーシンボル)が似ているせいか、特にこれから投資を始めてみようという方には、どれがどれなのかよくわからないかもしれません。
恥ずかしながら、私自身アメリカ株投資を始めたごく初めの頃、中途半端な理解のもとで、何となくVOOを数株購入したものです。
さて、この3銘柄の大きな違いは、一言で言うと焦点を当てている市場セグメントの違い、ということになります。
VOO・・・米国の株式指数であるS&P500インデックスのパフォーマンスに連動することを目指すETFです。アメリカの大型株中心です。
VTI・・・CRSP USトータル・マーケット・インデックスのパフォーマンスに連動することを目指すETFです。アメリカの大型株から中型・小型株までマーケット全体を含みます。
VT・・・FTSEグローバル・オール・キャップ・インデックスのパフォーマンスに連動することを目指すETFです。全世界の先進国をはじめ新興国までに投資します。
いずれも長期でコツコツ積み立てるスタイルがいいと思います!
(なおこの記事に記載されている数値やデータは、2024年9月時点のものです)
VOO、VTI、VTは何が違う?
まず、これら3つのETFの特徴を比較表で見てみましょう。
運営はすべてアメリカのバンガード社によるものです。
VOOは米国内の大型株、VTIは米国全体の株式、VTは世界中の株式を対象としています。
分散投資の観点からは、9,000以上の銘柄を組み入れているVTが最も分散されています。
ティッカー | 名称 | 特徴 | 経費率(年) |
---|---|---|---|
VOO | バンガード・S&P500・ETF | S&P500インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す。組入銘柄は米国の大型503社。 | 0.03% |
VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケット・ETF | 全米株式市場全体の動きを表す指数、CRSP US トータル・マーケット・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指す。組入銘柄数は約3,656。大型株、中型株、小型株を含むほぼすべての米国株式が含まれる。 | 0.03% |
VT | バンガード・トータル・ワールド・ストック・ETF | 世界中の株式市場全体の動きを表す指数であるFTSE グローバル・オール・キャップ・インデックスのパフォーマンスへの連想を目指す。組入銘柄は48カ国、約9,961銘柄。 | 0.07% |
VOO、VTI、VTの直近5年間のパフォーマンス比較
次に、VOO、VTI、VTの直近5年間のパフォーマンスを比較してみましょう。
2019年9月から2024年9月までのパフォーマンスを見ると、VOOが最も優れています。
これは、これはVOOの組入銘柄の中で、この期間に成長が著しかったアメリカハイテク銘柄が占める割合が大きいためだと考えられます。
またこのことは、組入銘柄がより分散されたVTのパフォーマンスが、若干劣ることも意味すると言えるでしょう。
VOO、VTI、VTの直近配当利回り
配当利回りにも触れておきましょう。
長期投資を考えている投資家には、配当再投資による複利効果がとても重要になります。
投資先の選択には、配当利回りも考慮すべきでしょう。
2024年3月時点での3ETFの配当利回りです。
ティッカー | 配当利回り(%) |
---|---|
VOO | 1.34 |
VTI | 1.47 |
VT | 1.59 |
VOO、VTI、VT 投資先はどれが良いか?
まとめとして、VOO、VTI、VTがそれぞれどのような投資家に向いているのかを検討します。
VOOが向いている投資家
- 米国の大型株に焦点を当てた成長を求める投資家。
- 長期的な資産成長を目指し、市場平均のリターンを追求したい投資家。
- 米国経済の全体的な成長に投資したいと考える投資家。
VTIが向いている投資家
- 米国の株式市場全体に分散投資を求める投資家。
- 大型株だけでなく、中型株や小型株にも投資したい投資家。
- 長期投資を通じて、より広範な市場の成長を捉えたいと考える投資家。
VTが向いている投資家
- 全世界の株式市場に分散投資を求める投資家。
- 米国以外の市場にも投資したいと考える投資家。
- 地政学的リスクを分散し、世界経済全体の成長に期待する投資家。
VOO、VTI、VT いずれも長期投資がおすすめ
株式投資は未来の成長に期待して、投資をするという側面を持ちます。
VOO、VTI、VTといった、株式指数に連動するETFは、分散投資をしながらアメリカや全世界の経済成長に期待するには、魅力的な投資対象であると言えます。
さらに、インデックスETF特有のリスク分散を補完するのが、ドルコスト平均法です。
ドルコスト平均法とは、簡単にいうと、定時定額で長期に渡って投資をすること。
これによって、マーケットタイミングによるリスクを低減します。
バンガード社によるこの3つのETFは経費率が低く設定されており、長期投資を考慮した設計になっています。
その上で、投資家のニーズに合わせて、それぞれ異なる市場に焦点を当てています。
VOOはアメリカの大型株中心の、安定した成長を求める投資家に適していると言えるでしょう。
VTIはより広範な米国株式市場へ投資したい、市場全体の成長を捉えたいと考える投資家に魅力があると思います。
VTはグローバルな分散投資を重視し、世界中の市場への投資を求める投資家の選択肢になるのではないかと思います。
いずれのETFも、長期に渡ってコツコツと積立投資をすることで、強みを発揮すると思います。
それぞれのETFについてさらに深掘りしてみたい!という方はぜひ下記の記事を参考にしてください。
あ!証券口座まだ開いていなかった!という方はこちらも参考にしていただけると嬉しいです。