新NISAの登場で、米国市場を代表する株価指数S&P500への注目度が高まっています。
S&P500は、アメリカ経済の成長を牽引する500社の株式で構成され、世界で最も広く利用されているベンチマークの一つです。
日本でも米国株投資の第一歩として、S&P500投資信託が注目されています。
この記事では、S&P500投資信託の特徴、メリット・デメリット、選択時の注意点、そしてどのような投資スタイルに向いているかについて解説します。
(当記事のデータは2023年12月時点のものです)
S&P500投資信託の選択肢:代表的なファンド比較
早速、代表的な投資信託をリストアップしてみましょう。
銘柄名 | 時価総額 | 信託報酬 | 主な取扱証券会社 | 運用会社 |
---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 9,805.26億円 | 0.09372% | SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券 | 三菱UFJアセットマネジメント |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 4,675.08億円 | 0.0935% | SBI証券、松井証券、マネックス証券 | SBIアセットマネジメント |
iFree S&P500インデックスファンド | 476億円 | 0.198% | SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券 | 大和アセットマネジメント |
これらの投資信託はS&P500指数に連動した値動きを目標とするため、パフォーマンスという点ではほぼ同じです。
選択のポイントは、信託報酬と時価総額です。
特に、信託報酬の影響が長期積立投資では大きくなります。
つまり、信託報酬は低いほどいい、というわけです。
さて、以下はS&P500に組み入れられている上位10銘柄です。
アップル | コンピューター |
マイクロソフト | ソフトウェア・ITサービス |
アマゾン | 小売り |
アルファベットA(Google) | ソフトウェア・ITサービス |
アルファベットB(Google) | ソフトウェア・ITサービス |
テスラ | 自動車 |
バークシャー・ハサウェイ | 消費財コングロマリット |
ユナイテッドヘルス | ヘルスケアサービス |
エヌビディア | 半導体・半導体設備 |
メタ(Facebook) | ソフトウェア・ITサービス |
S&P500投資信託のメリット・デメリット
それではメリット・デメリットを挙げながら、S&P500投資信託の特徴をさらに掘り下げてみましょう。
S&P500投資信託のメリット
幅広い業種への自動分散投資
S&P500は、テクノロジー、ヘルスケア、金融、消費財など、多様なセクターを代表する500社で構成されており、その時価総額の割合はアメリカ市場全体の約80%に昇ります。
この広範な分散により、個別の市場変動リスクを軽減しながら、米国経済の成長に期待することができます。
低運用コスト
指数に連動するファンドのため、アクティブファンドに比べて運用コストが低く設定されています。
長期投資では、低コストは大きなメリットになります。
安定した長期パフォーマンス
S&P500指数は、過去数十年にわたり安定した成長を示しています。
このため、S&P500投資信託は、長期的な資産形成に適した選択肢と言えるでしょう。
下の図は1990年から2023年までのS&P500のチャートです。
1990年1月5日の時点では、指数は325.8ドルでしたが、2023年12月22日には4754.63ドルで取引を終えています。
この期間に、上昇と下降を繰り返しながらも、約30年以上の間におおよそ14倍の成長を遂げています。
少額からの投資が可能
多くのS&P500投資信託は、100円など少額からの投資が可能です。
投資を始めたばかりの方でも、無理なく始められます。
分配金が自動的に再投資される
分配金を再投資するコースを選べば、配当金が自動的に再投資されます。
通常分配金を受け取る場合、配当金に対し所得税が課されますが、自動再投資の場合は税金を払う必要がありません。
配当金を受け取って、他の投資先に投資したいという方にはデメリットと言えますが、長期に渡って積み立てたいという方には大きなメリットと言えます。
S&P500投資信託のデメリット
市場リスク
米国株全体が下落すると、投資信託の価値も下がります。
これは、すべての株式投資に共通するリスクです。
短期での上昇の恩恵を受けにくい
S&P500は500社に分散投資されています。
そのため、特定の企業の株価が急上昇した時などは、その恩恵を直接的に受け取ることはできません。
また、大型株中心のポートフォリオのため、中小型株に見られるような急成長の恩恵は受けにくいと言えます。
為替リスク
日本円で投資している場合、為替レートの変動が収益に影響を与えることがあります。
円高が進むと、ドル建ての投資収益が減少する可能性があります。
S&P500投資信託に適した投資スタイル
冒頭でも触れたように、S&P500はアメリカ市場の時価総額の約80%、また世界市場の同じく約45%以上のウェイトを占める株価指数です。
そのS&P500のパフォーマンスに連動する投資信託は、分散効果があり、経費も低く抑えられていますので、将来に渡って経済の成長の恩恵を期待できる投資先としては、とても魅力的です。
このような理由から、S&P500投資信託は、長期投資に適していると言えるでしょう。
チャートを見ると明らかなように、S&P500指数は短期的には上下動を繰り返すものの、長期で見れば上昇傾向にあることが分かります。
このような点から、S&P500指数に連動する投資信託への投資は、iDeCoやNISAのような制度を利用した、長期間(10年、20年、30年)にわたる積立投資に適していると考えられます。