「まさかないとは思うけど・・・証券会社にもしものことがあったらどうなるんだろう・・・」
「今使ってるネット証券より手数料が安いところってあるのかな・・・」
投資をする際、一つの証券口座ですべての取引を行うというスタイルが一般的だと思います。
しかし、経験豊富な投資家の中には、複数の証券口座を持つことを推奨する人が少なくありません。
それはなぜなのでしょうか?
この記事では、複数の証券口座を持つことのメリットとデメリットを詳しく解説するとともに、賢い使い分け方を紹介します。
複数の証券口座を持つメリット
リスク分散
利息のつく普通預金・定期預金等は、たとえその銀行が破綻しても、元本1000万円までは保護されるというのは、皆さんもご存知かと思います。
ところで、証券会社の場合どうなのでしょう?
銀行と同じく、有価証券や金銭は保護されるのでしょうか?
もしもの時に備えて、証券口座も複数持った方がいいのでは・・・??
結論を言うと、証券会社の場合、経営が破綻した際に確実に投資家に戻るように、自社の資産とは区分して管理することが法律で義務付けられています(「顧客資産の分別管理」)。
万が一、証券会社で分別管理がされていなかった場合でも、日本投資者保護基金から「1顧客当たり1,000万円を限度として」補償されます。
つまり、投資家の資産は、分別管理と日本投資者保護基金による補償という二重の制度によって保護されているのです。
とはいえ・・・一つの証券会社に全ての資産を集中させてしまうと、その証券会社に何か問題が生じた場合(例えば、ハッキングや倒産)にすべての資産が危険にさらされる可能性が生じることに変わりはありません。
複数の口座を持つことで、このリスクを分散させることができます。
もしもに備えて、管理人も複数の口座を開いています!
手数料の比較と最適化
証券会社を比較する際、最も気になることの一つが手数料。
この手数料、各証券会社によって体系が異なります。
複数の口座を持つことで、取引の内容や頻度に応じてコストを低く抑えることが可能になります。
例えば・・・ある証券会社は国内株式の取引手数料を無料にしているものの、外国株の手数料に関しては他の証券会社より高く設定されている、といったこともありえます。
つまり、国内株式にはA社、外国株の取引ではB社というように、複数口座を持つことで投資対象に応じてより有利な条件で取り引きをすることが可能になるというわけです。
投資商品の多様性
証券会社によって、取り扱う金融商品は異なっています。
A社で扱っている銘柄が、B社にはないといったことが、特に外国株や投資信託にはあります。
複数の口座を持つことで、さまざまな投資商品にアクセスでき、ポートフォリオの多様化が図れるとともに、投資機会の損失を避けることもできると言えるでしょう。
プラットフォームやツールの活用
各証券会社は独自の取引プラットフォームや分析ツール、セミナーなどを提供しています。
複数の口座を持つことで、各証券会社の強みを活かした取引や投資分析が可能になります。
例えば、A社のツールを活用しながら、手数料の低いB社で取引をする、といった方法が可能になるのです。
特典やキャンペーンの活用
証券会社は新規口座開設や取引に対する特典やキャンペーンを行うことがあります。
複数の口座を持つことで、これらの特典(キャッシュバックや取引手数料割引)を活用することができます。
資産管理の最適化
異なる投資目的や戦略に応じて口座を分けることで、資産管理がより効率的になります。
例えば、短期投資用と長期投資用の口座を分けることで、取引や管理がしやすくなります。
また、個別の投資戦略に応じたポートフォリオの構築が可能になります。
取引の柔軟性
証券会社によっては、時間外取引ができたり、外国株では取引可能な市場に違いがある場合があります。
複数の口座があれば、取引の柔軟性が増し、より多くの投資機会を得ることができます。
複数の証券口座を持つデメリット
管理の手間と複雑さ
複数の口座を管理するには、それぞれの口座の残高や取引履歴を把握する必要があり、これには少々時間と労力がかかります。
全体の資産状況を把握することが煩雑になり、資産管理が複雑化する可能性があります。
情報の一元管理の難しさ
上記とも関連しますが、各証券会社の取引履歴やポートフォリオ情報が分散するため、全体の投資パフォーマンスを一元的に把握するのが難しくなります。
これにより、投資戦略の評価や調整が困難になることも考えられます。
複数口座ゆえの煩雑さ
資産が分散することで、特定の投資機会に集中投資することが難しくなる場合があります。
また、各証券会社の取引プラットフォームやツールの使い方を覚える必要があり、それぞれのインターフェースや機能に慣れるまで時間がかかることがあります。
さらに、複数の口座に対して異なるログイン情報やパスワードを管理する必要があり、それがセキュリティリスクを増加させることも考えられるでしょう。
税務申告の複雑さ
複数の口座から得られる収益や損失を合算して税務申告する際、計算が複雑になる可能性があります。
これにより、税務処理にかかる手間やコストが増えることがあります。
複数の証券口座を持つべきか?
複数の証券口座を持つことには、メリットとデメリットの両方があります。
メリットを享受できる一方で、主に複数口座を持つことによる煩雑さという面からデメリットも生じます。
最終的に、複数の証券口座を持つべきかどうかは、各自の投資スタイルや目標、リスク許容度によることになると言えるでしょう。
もし、複数の証券口座を持つことで得られるメリットが投資戦略に合うと考えるなら、複数の口座を開設するべきかもしれません。
例えば、このような使い方ができるでしょう。
- リスクヘッジとして資産を複数の証券会社に分けておく。
- 短期トレード用の口座と長期投資の口座を分けて管理する。
- 特定の証券会社の優れたツールを利用しながら、実際の取り引きは低コストの証券会社を活用する。
ちなみに、ワタクシ管理人は主にリスク分散という点を重視して、複数の口座を持っています。
また、証券会社ごとにセミナーや分析ツールなど、情報発信という点で特色に違いがあり、この点もメリットと考えています。
とはいえ、管理の手間やコストがデメリットとして大きく感じられる場合は、一つの証券口座に集中する方が効率的かもしれません。
もし複数の証券口座を開設することを考えているのであれば、まずは信頼性の高い証券会社を選び、各社の特徴や手数料、提供する投資商品、プラットフォームやツール、サポート体制などを比較検討しましょう。
そして、自分の投資スタイルや目標に最も適した証券口座を選び、計画的に投資を進めていくことが重要です。