アメリカの株価指数であるS&P500への投資を考える際、多くの人が最初に投資信託を検討すると思います。
しかし、S&P500に連動する上場投資信託(ETF)も存在し、これはもう一つの選択肢として考慮する価値があります。
この記事では主要なS&P500 上場信託について、そのメリット・デメリット、上場信託に適した投資スタイル等、詳しく解説します。
S&P500を投資先として検討している方の参考にしていただければ幸いです!
(この記事に掲載のデータは2024年1月時点のものです)
S&P500の上場投資信託(ETF)のポイント
- リアルタイムの値動きや、市場のタイミングを見ながらトレードすることが可能です。
- 短期的な市場の変動がある時にはポジション調整をしたいという投資家に向いています。
主なS&P500に連動する上場投資信託
まずはS&P500に連動する上場投資信託をリストアップしてみましょう。
いずれもS&P500に連動する投資成果を目指す銘柄ですので、パフォーマンスに大きな違いはありません。
銘柄選びの主要なポイントは、諸費用(信託報酬)と流動性(時価総額)です。
まず、為替ヘッジを行っていない上場投資信託から見ていきましょう。
銘柄名 | 銘柄コード | 運用会社 | 信託報酬(%/年) | 時価総額 |
---|---|---|---|---|
NEXT FUNDS S&P500指数(為替ヘッジなし)連動型上場投信 | 2633 | 野村アセットマネジメント | 0.0660 | 6,687百万円 |
MAXIS 米国株式 (S&P500)上場投信 | 2558 | 三菱UFJ国際投信 | 0.077 | 45,706百万円 |
上場インデックスファンド米国株式(S&P500) | 1547 | 日興 アセットマネジメント | 0.165 | 39,579百万円 |
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF | 1655 | ブラックロック・ジャパン | 0.077 | 67,525百万円 |
SPDR S&P500 ETF | 1557 | SSGA | 0.0945 | 70,158,988百万円 |
次に「為替ヘッジあり」の主要銘柄を見てみましょう。
銘柄名 | 銘柄コード | 運用会社 | 信託報酬(%/年) | 時価総額 |
---|---|---|---|---|
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(為替ヘッジあり) | 2563 | ブラックロック・ジャパン | 0.077 | 63,471百万円 |
上場インデックスファンド米国株式 (S&P500)為替ヘッジあり | 2521 | 日興アセットマネジメント | 0.165 | 39,014百万円 |
S&P500とは?
ここで、S&P500についてあらためておさらいしましょう。
S&P500とは、米国の証券取引所に上場している代表的な米国企業500銘柄からなります。
これらの株価は時価総額比率で加重平均され、指数化されています。
この指数は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社によって公表されます。
S&P500の構成銘柄の時価総額は、米国株式市場全体の時価総額の約80%を占めています。
また、米国株式市場の時価総額は世界の株式市場の約43.5%を占めると言います。
言い換えれば、S&P500の株価指数は世界経済の動向を反映しており、S&P500に投資するということは、世界の主要な株式市場の大部分に投資することになる、と言えるでしょう。
そもそも上場投資信託(ETF)とは?
そもそも上場投資信託とはなんでしょうか?
上場投資信託(Exchange Traded Fund=ETF)は、「株式や債券などの資産をバスケットにまとめた投資信託」ということができます。
一般の投資信託とは異なり、証券取引所に上場され、株式と同様に取り引きされており、個人投資家から機関投資家まで幅広い投資家に利用されています。
とはいえ、投資信託という馴染みの金融商品があるにも関わらず、なぜ「上場投資信託」なのでしょうか?
上場投資信託のメリット・デメリットを解説しながら、詳しく見ていくことにしましょう。
上場投資信託のメリット
リアルタイムで取引が可能。
投資信託は基準価格で評価されますが、上場投資信託は株式と同様、市場の需給によって価格が決まります。
投資信託と異なり、上場投資信託はリアルタイムの値動きや、市場のタイミングを見ながらトレードすることが可能なのです。
上場投資信託のデメリット
一方で上場信託のデメリットも見てみましょう。
「市場価格」と「基準価額」が大きく乖離してしまう可能性がある。
上場投資信託には流通市場での「市場価格」のほかに、毎営業日に運用ファンドが設定する「基準価額」があります。
この二つの価格には、場合によっては大きな差(乖離率)が生じることがあります。
特に、取引量(出来高)が少ないファンドでは、乖離率が大きくなる傾向にあります。
これは上場信託のデメリットと言え、銘柄を選択する際には乖離率の傾向に注意を払うことが必要です。
分配金再投資という仕組みがない。
上場投資信託には、分配金を自動的に再投資する仕組みがありません。
再投資をしたい場合、分配金(配当金)が支払われた時点で自分で該当銘柄を再購入する必要があります。
つまり、複利運用を実現するためには、投資信託のように自動的には行えず、自分で管理する必要があります。
さらに、分配金に対しては譲渡益税が適用されるため、その点も考慮する必要があります。
上場投資信託に向いている投資スタイル
S&P500のような指数にに連動する投資先には、基本的には長期投資が適していると思います。
それであれば、投資信託を粛々と積み立てるという投資スタイルをとるべきでしょう。
一方で、長期投資をしつつも短期的な市場の変動がある時にはポジション調整をしたいという方には、取引所の営業時間内にトレードができる上場投資信託が向いていると考えられます。
まとめ:S&P500は長期積立で
S&P500はアメリカの市場を代表する指標であり、また世界の市場を代表するものでもあります。
チャートを見ると、上下動を繰り返しながらも長期では上昇しています。
また500銘柄が組み込まれていますので、分散も効果的であると考えられます。
したがって、S&P500への投資は長期的に、余剰資金を利用して、コツコツ積み立てていく方法が適していると思います。
一方で、上場投資信託(ETF)には、通常の投資信託とは異なる固有のメリット・デメリットがあります。
投資先の選択に当たっては、それぞれの投資スタイルをよく考慮することが大切だと言えるでしょう。