VTを初めて買ったのは、何かを「信じてみたい」と思った日だった。
どの国が伸びるかなんて、僕にはわからなかったし、今もそれは同じ。
何を買っても不安だったし、今もそれは変わらない。
でも、世界全体をまるごと信じるという選択肢は、意外にも心を落ち着かせてくれた。
VTって何?という話を、感情を交えて
VT(Vanguard Total World Stock ETF)は、世界中の株式市場に分散投資できるETFだ。
運用はバンガード社。
指数は「FTSE Global All Cap Index」。
つまり、先進国も新興国も、大企業も小さな企業も、全部ひっくるめて世界中の企業に投資できる。
組み入れ銘柄数は約9,800、経費率はわずか0.06%。
この「世界まるごとパック」でこのコスト、やっぱりすごい。
ちなみに「指数(インデックス)」とは、特定の市場や業界の動きを数字で表したもの。
「FTSE Global All Cap Index」は、世界中の企業の株価の動きをざっくり平均したような指標。
VTはこの動きをそのままなぞるように運用されている。
VTの魅力は、投資というより「世界との共生」かもしれない
分散投資の極み
約9,800社、40カ国以上。
どこかが下がっても、どこかが上がる。
世界の息づかいに合わせて、自分の資産が静かに育っていく。
「世界との共生」は感覚的な安心だけでなく、資産を世界中に分散させることで、ひとつの国や地域に頼りすぎないという、現実的なリスク回避にもつながっている。
圧倒的な低コスト
年間経費率は0.06%。
長期で積み立てるなら、これは「見えない利益」といっていい。
長期的な成長を取り込む
世界経済は一進一退しながらも、長期的には成長してきた。
過去データは未来を保証しないけれど、世界にベットするという発想は、どこか前向きで心地いい。
もちろん完璧じゃない。VTの注意点
市場全体の影響をモロに受ける
リーマンショック、コロナ、戦争・・・。
どこかの国だけじゃない、世界全体が揺れると、VTも容赦なく揺れる。
為替リスクもある
ドル建てETFなので、円高・円安によって日本円ベースの評価額が変わる。
アクティブ運用はできない
VTはインデックス連動型。
だから、市場が悪くても何もしない。
じっと耐えるしかない。

それでも、僕がVTを積み立てている理由
VTを毎月、機械的に同じ金額を積み立てる。
チャートを見ない日もあるけれど、信頼して積み立てている。
そして、世界で起きたニュースを見るたび、僕は自分のポートフォリオのことを思い出す。
「今、南米はどうだろう?」
「インドの成長は、本物なのか?」
VTは、僕と世界をつないでくれる小さな窓みたいな存在だ。
相場がギクシャクしている時、どうすれば?
2025年現在、米国を中心にマーケットは不安定な動きが続いている。
関税、インフレ、地政学リスク・・・。
そういうムードの中で、「VTをこのまま積み立てていて大丈夫なのか?」と感じている人も多いと思う。
でもたぶん、VTに向いているのは、そういう「正解のない時間」とも、静かに付き合える人かもしれない。
若い人・これから20年、30年投資できる人へ
もし、これから20年、30年と投資を続けていけるなら、ギクシャクした今はむしろ歓迎すべき局面。
価格が下がっているときに積み立てることは、結果的に安くたくさん買えるということ。
それは長い目で見れば、大きなアドバンテージになる。
世界全体を信じて、コツコツ積み上げること。
それがVTの本領発揮の場面だ。
毎月、静かに投資することで、いつの間にか世界の成長に乗っている。
そういう感覚が、VTにはある。
僕のような50代には・・・守るお金と育てるお金をわけて考える
50代半ばの自分にとって、この先必要になるお金をどうするか、つまり資産の出口戦略を考えることが結構リアルな問題になりつつある。
正直、相場がギクシャクし始めると、VTだけにすべてを託すのが少し怖くなる。
なぜなら、20年30年投資ができる若い頃とは違い、失敗ができなくなっていくからだ。
言い換えれば、失敗した分を取り返す時間がだんだん少なくなっていっているということ。
だから、今は資産を「使うタイミング」で分けることを考えている。
- 数年以内に使うだろうお金は、現金や安定資産へ
- 10年以上先に使うだろうお金は、VTで静かに育てる
「今使わないお金」をVTに使う。
それが、マーケットが不安定なときでも、自分をブレさせないやり方だと思っている。
だからこそ、必要な生活費の数年分を現金化しておく「キャッシュポジションの確保」が大切。
VTの積立は続けながらも、「使う資産」と「育てる資産」を分けて考えるといいのではないだろうか。
じゃあ、どう買えばいい?
VTは、米国ETFなので、日本のネット証券、たとえばSBI証券や楽天証券などで買うのが一般的。
僕はどちらも使っているけれど、日々の運用に特に不満はない(慣れは必要だけど)。
為替手数料やドル転(円→ドル)の方法も最初はちょっと面倒だけど、一度やってみれば案外スムーズ。
👉 楽天証券
積立設定もできるので、長期でコツコツ運用したい人にはおすすめだ。
最後に

投資って、「見張ること」と例えることができるかもしれない。
例えば、個別株の短期トレードなんかがまさにそう。
でも、VTに関しては、「見守ること」に近いかもしれない。
VTは、決して短期的なパフォーマンスを競うような商品じゃない。
どちらかというと「そっと横に置いておける安心感」みたいなものを、時間と引き換えにくれる存在だ。
今のように、相場が揺れている時なら、なおさら。
静かに、でも意志をもって「続ける理由」を持っていたい。
世界中の企業と一緒に、ゆっくり未来を信じていく。
見守っていく。
そういう投資があっても、いいと思う。