株価が下がったとき、いちばん気にするのは誰だろうか。
投資家だろうか。社員だろうか。
それとも、経営者自身か――。
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成長しない企業が選んだ道
最近、ある上場企業の決算を見た。
誰もが名前を知るような大手企業だ。
売上は前年比マイナス、営業利益も横ばい。
ここ数年は、そのようなグズグズした業績で推移しているようである。
その一方で、増配・自社株買い・配当性向の引き上げという、株主還元を強く打ち出している。
資料だけを見れば、堅実な経営のようで、決して悪くは映らない。
しかし一方では、予算削減・人員整理・構造改革が同時進行しているという話も聞こえてくる。
株価は、社長の通知表
経営陣、特に社長にとって、株価は「見られている数字」だ。
配当や自社株買いは、その株価を支えるためのメッセージでもある。
だが本業が鈍化している中での還元強化は、利益の再分配であって、未来への投資ではない。
数字は整っている。けれど、「未来」が見えない――
それが、いま多くの日本の成熟企業に共通する姿のように感じてしまう。
本当に大事なことは何か
成長できない時代に、企業がやるべきことは、「還元」ではなく「言語化」だと僕は思っている。
なぜ成長できないのか?
これから、どこへ向かうのか?
まずそれが聞きたい。
企業の価値を判断するとき、株価や決算だけでなく、その言葉を僕は大事にしていきたい。