「VTIという名前はよく聞くけど、なんのことだかよくわからない・・・」
そんなふうに思っていたのは、何を隠そう僕自身です。
VOOとかVTとか、やたら似た名前のETFが並ぶ中で、「とりあえずVOO買ってみるか」と、深く理解しないまま投資を始めたのが正直なところでした。
この記事では、全米株式市場に投資できるETF「VTI」について、その特徴や良さ、気をつけたい点、そしてどんなふうに付き合っていけばいいのか ──
そんなことを、できるだけ肩の力を抜いた言葉でまとめてみたいと思います。
(※データは2025年5月時点のものです)
VTIの基本情報
- 正式名称: Vanguard Total Stock Market ETF(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)
- 運用会社: バンガード(米国)
- 連動指数: CRSP USトータル・マーケット・インデックス
- 対象市場: 米国株式市場のほぼ100%(3,564銘柄)
- 経費率: 年率0.03%
「アメリカ株ぜんぶまとめて買う」
VTIとはつまり、そんなETFです。
組入上位銘柄(2025年5月時点)
銘柄名 | 割合 |
---|---|
アップル | 5.94% |
マイクロソフト | 5.47% |
エヌビディア | 4.70% |
アマゾン | 3.27% |
メタ | 2.24% |
バークシャー・ハサウェイ | 1.76% |
アルファベット A | 1.71% |
テスラ | 1.44% |
イーライ・リリー | 1.43% |
ブロードコム | 1.11% |
(出典:Vanguard公式)
VTIのメリット
米国市場の成長をまるごと取り込める
大型〜小型株まで含まれているため、個別株では拾えない中小型銘柄の成長も自然と取り込めます。
分散投資が自然にできる
3,564社の銘柄に分散されていて、業種や規模に偏りにくい。
「この会社どうかな・・・」と悩まずに済む気楽さもあります。
コストがとても低い
経費率0.03%。
これだけでも、VTIを選ぶ理由になります。
長く付き合うからこそ、見えないコストが少ないのは安心材料です。
気をつけておきたいこと(デメリット)
米国一本足打法になる
VTIはあくまで「米国株オンリー」。
世界に広く分散したい人にはVTの方が合っているかもしれません。
大企業の影響を受けやすい
時価総額で組み入れられるので、大手IT企業の動きに大きく左右されます。
アクティブには勝てない
VTIはあくまで市場平均を追うETF。
特定の個別株が爆騰した時でも、その恩恵は受けにくいです。
為替の影響は避けられない
米ドル建てなので、円高・円安に気持ちが振り回されることもあります。
VTIと付き合うコツ
コツコツ積み立てる
時間を味方につける方法です。
急がず焦らず、淡々と。
ドルコスト平均法を使う
定期的に同じ金額を積み立てることで、買うタイミングを気にしなくてもOKになります。
配当金は再投資
「複利」は地味だけど、長く続けると頼もしい味方になってくれます。
他の資産と組み合わせる
全世界ETFや債券を少し加えると、ポートフォリオのバランスが整いやすくなります。

相場がギクシャクしている時、VTIをどう考える?
VTIは市場平均を追うETF。
つまり市場がギクシャクすれば、VTIへの影響もダイレクト。
例えば2025年現在、米国市場は少しざわついています。
インフレが落ち着かず、金利は高いまま。
関税問題や地政学的な不安もどこかに漂っている。
そんな中で「今は様子見かな・・・」と足が止まるのも無理はありません。
でも一方で、こうした時期こそ「静かに積み上げていく」という考え方もあると思うんです。
価格が安くなる場面は、見方を変えれば「多くの口数を買えるチャンス」でもある。
毎月決まった額を積み立てていくことで、買い時を狙わなくても、結果的に平均的な価格で投資を続けていける。
「タイミングを読む」のではなく「習慣を続ける」。
不安定な相場だからこそ、そういうリズムを持つことが、後から効いてくるのではないかと思っています。
20年、30年先を見据える人
もし今、20代・30代・40代で「これから積み立てていこう」と考えているなら、VTIのようなETFは頼れる相棒になるはずです。
時間という最大の味方があるからこそ、焦らず・慌てず・コツコツ積み上げていくことで、複利の力がしっかりと働いてくれます。
途中で相場が荒れることもあるでしょう。
でも、その波を越えていくことでしか見えない景色がある──長期投資とは、そういう旅なのかもしれません。
もうすぐリタイアを迎える方
一方で、僕のように50代・60代という方は、「出口戦略」も意識しはじめる時期です。
- 積立額を少し減らす。
- 配当を受け取って安全資産へ移したり生活費の足しにする。
- 一部を債券や現金化し、急な出費にも備える。
マーケットが不安定な時ほど、「守りながら続ける」という意識が大切になります。
やめるのではなく、形を変えていく。
それが、投資を生活に溶け込ませていく一歩なのだと思います。
VTIは「アメリカと、静かに歩む」投資先

VTIは、アメリカ経済の成長に、無理せず自然体で乗っていくようなETFです。
- 個別株に悩みたくない人
- 長期的にコツコツ積み上げたい人
- 「手間をかけず、かといってほったらかしすぎない」投資がしたい人
そんな人にぴったりだと思います。
ちなみに、僕が使っているネット証券は、SBI証券や楽天証券といった、手数料が安くて海外ETFも買いやすいところを選んでいます。
最初はVOOを買って、よく分からないまま始めた僕ですが、今ではVTIを「相棒」のように積み立てています。
焦らず、比べすぎず、静かに時間を味方に──
そんな投資の形があっても、いいんじゃないでしょうか。